服は人なり。/佐々宝砂
 
制服着てふんぞりかえったこともあるし、
ミニスカ履いてウェイトレスやってたこともある。

人は服で人をみる、
制服なんてコスプレだ。

なんならミニスカポリスをやってもいい、
私には公務員免許がないけど、
なんならセーラー服を着てもいい、
私は三十六歳だけど。

それでも人は服で人をみる、
話は簡単、
制服があるなら話は簡単、
たいていのものならなんにでもなれる、
たいていのことならなんでもできる、
服は万能だ。
服は人間だ。

自分を変えたくなったら、
着替えりゃいいのだ、簡単だ。

私は毎日服を着替える、
ころころころと自分を着替える、

昨日は白衣を着てお注射しましょ、
今日は警官なので逮捕してあげます、
明日はきっとメイド服だから、
「あらんいやんご主人様!」

なんだって着てやります。
着ろというならなんでも着ます。

でも詩人には制服がない。
ないんだよ。


(初出 蘭の会・4月月例詩集「制服」)



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