服は人なり。/佐々宝砂
どれだけ制服を着てきたかわからない。
中学の紺のセーラー服、
高校の襟元あいた黒のセーラー服、
大手スーパーの制服、
化粧品工場の作業服はファンデーションと口紅だらけ、
煙草工場の工人帽はヘビースモーカーにも耐え難い悪臭、
運送会社の作業服ときたら一日でまっくろけのけ、
ラーメン屋のエプロンは油染みだらけ、
魚屋のエプロンはビニール製で血でびしょびしょ、
寿司屋のエプロンと帽子は紙製で、
書店のエプロンには「栄養と料理」と書いてあって、
一日限りのサクラのバイトはなんと喪服が制服で、
あは、そういや、
白衣着て偉そうに顕微鏡覗いたりもしたし、
警備保障会社の制服
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