思い出の美術館/はじめ
 
まにか地上で好きだったきみの姿になっている
 当然きみと出逢った時の絵も飾られている
 きみは「私こんなにきれいだったかなー」とてれ笑いした
 きみは全ての絵を見終わるといつものベンチにすわる
 ぼくはコーヒーを持ってくる
 きみはそれをゆっくりと飲み「おいしい」とほほえむ
 そうやっていつものおだやかな時間がゆっくりとすぎていく

 やがてゆうぐれ時になると
 それまでさかんだったおしゃべりをやめ
 きみは帰っていく
 ぼくはコーヒーカップをあらって
 美術館をしめる
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