王女メリサ4/atsuchan69
ふたりは水草の浮いた池のある庭をならんで歩きながらしばらくなにも話しませんでした。池のほとりには赤いチューリップの花が咲いています。小橋をわたり、茨のアーチをくぐり、青い木漏れ日のおちた道をしばらく行きました。
王さまはふたりの姿を窓からながめ、将軍の報告を聞きました。
年老いた将軍はつづけました。
「さらに申し上げます。モナカイは勢力を増大させ、マガラの北において当方の駐留軍と衝突。たいへん嘆かわしいことに我が軍は敗れさりました」
ふりむき王は顎(あご)に手をあてます。
「このままではマガラは敵の陣営に落ちる」
「はい。大至急応援の部隊を送らねばなりません」
「将軍」
「
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)