挙動不審者/hon
私は不機嫌に一階へ下りると、茶の間に腰をおろして、母を起動した。
起動を待つ間に湯呑みにお茶を注いだ。それから、母に話しかけた。
「母さん、表の不審者、あれからずっといるみたいよ」
母はいつもの落ち着いた平板な声で応答した。
――怖イネ。大丈夫ダト、イイネ。
「それで警察に電話したんだけどね、まともに取り合ってくれないのよ」
――ダメダネ。困ルワネ。
「そうなのよ。それで不審者が家に押し入ってきたら、どうしようって」
――イヤダワ。何モナイト、イイケドネ。
「本当に警察がちょっと来て、あいつを追っ払ってくれたら、それで良かったのに。私腹ばっかり肥やして、ああい
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