挙動不審者/hon
う怖くては出社のために表へ出るのにも差しつかえる。
それで、とうとう私は警察に連絡したのであった。
「不審者が家の前にいるんです」
と私は訴えた。
「不審者ですか。顔見知りではないんですね」
電話に出た警察の職員が言った。「その人はどういった感じですか」
「二十代前半くらいの男性です。その、こちらをじっと見ていて、不審なんです」
「家の前からじっと見ている、と。それだけですか、他になにか」
「向かいの電柱によじ登ってくるんです。こう、両手と両足を使って」
「はあ」
「あとですね、鳩を食べます」
「鳩? 食べるんですか、その男が。家の前で鳩を?」
「食べるような
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