祈り/アマル・シャタカ
あの人も去ってこの人も去って
行く道の知れぬこの先を
一人歩いてゆかねばならぬというのなら
悲しみにも嫉妬にも涙することはないのだろうか
ただ孤独ゆえの涙は透明で美しいといっても
それではあまりにも救いがたい美しさに満ちている
寂しさを紛らわせるための恋には後悔の色しか輝かず
だからといって愛の色も知らず
流した透明な涙の湖に
己の体を沈めてそして宇宙(そら)を見上げる
闇夜に輝く星達に願いをこめて流れ星
その輝きは過去の輝き
涙目を照らすのは月の光
それは愛という名の
月を照らす姿見せぬ太陽にあなたを重ねて
湖畔にたたずむ壊れたピアノを愛執の風が弾き語り
哀愁のさざ波でわたしを震わせる
闇夜が払われ星が消え月も消え
流した涙の湖も乾いたその時に
現れるあなた
それは日の輝きの
わたしの瞳に口づけて涙を優しく拭ってくれる
その日が来るまで
我が身を沈める透明な湖で
漆黒に包まれた透明な湖で
あなたに捧げるこの詩(うた)を
風のピアノにのせて歌うの
そっと
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