『颱風の聲』/川村 透
道化どもが宙を見据えてついにブランコを、漕ぐや!
金魚姫海を滑る石つぶてのようにまっすぐ青テントに落ちてゆくだけ、
なら、どうしてブランコは振り子振り子、と繰り返すのか
なら、どうしてブランコは振り子振り子、と繰り返すのか
振り子するたびにブランコの金具はおののき息を吸い込み、泣き
き。
みみみみ、神、鳴り。
支柱は踊り藍色はくるり。ゆ、あーあーあーんん台風の金切り声
金魚姫テントごと飛ばされ道化ごと雨になる粒になるちぎれた凧のあいらしさ
ふふふ含み笑い道化おどけて台風と息を交している、せんそうの匂い
黒い魔術師虹色の渦巻きに洗われる青テント驟雨すがすがしくて笑え道化師
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