「ビー玉」 (青年詩片)/ベンジャミン
かた目をつむってご覧なさい
指先に抱えた透明を
明るさに透かして見えるのは
ある日の空や海だったり
はたまた宇宙のように綺麗でしょう
その水結晶の輝きは
確かにあなたの瞳の薄い膜を通して
あなたの記憶にはっきりと残るのです
たとえば思い出というものに
一番から十番までというような
順序をつけることのないように
まるで小さい頃の宝物みたいな
引き出しの中にこっそりとしのばせる
それは何ものにもかえがたいものですから
たった一つのビー玉で
世界の一部をのぞいてしまったような
少しばかりの優越感にひたりながら
もしも美しさを比べるようなことがあっても
その水結晶の輝きは
不思議と真っ先に思い出せるのです
ほら
かた目をつむってご覧なさい
明るさを透かして見える
そこに
あなたが探しているものが在るかもしれない
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