王女メリサ3/atsuchan69
夜、だれかがお城に石をなげて捕らえられてゆくのをメリサは物蔭からエスターと一緒に見ました。城壁には王様の悪口を書いた張り紙が、剥がしてもはがしても貼られました。今しも見まわりの番兵がそれを剥がしましたが、行ってしまうとひとりの少年がやってきてみごと一瞬のうちにまた同じビラを貼りました。
町じゅうを食べてゆけなくなった家の子らが親さえ失ってさまよっています。
その多くは、王さまに反対した者の子どもたちでした。
濃いオリーブ色の外套を着たメリサは頭巾をはずし、垢まみれのボロを纏(まと)って石畳のうえに寝る子らのすがたをみて言いました、
「エスター、わたしに魔法をつかわせて頂戴。あの子た
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