戯言/ひめと
 

あの子は自分を傷つけているけど、わたしだって文句は言えない。
最近は落ち着いてはいるものの、前は傷つけて生きていたもの、ね。

今日せんせいが言ったっけ、きれいごとを並べたっけ。
それであの子は前に立たされて、無表情で怖かったっけ。
見せしめのような心地だったかもしれない、ひどく傷ついたかもしれない。

ああ、また、あの子の傷が増えてしまいます。
あの子には傷ついて欲しくはないのに、だいすきなあの子には。
先生だってご存知でしょう、それともすっかり治ったとでも?

ああ、今頃、きっと今頃あの子は。
あの子の腕は血にまみれて、あの子の顔は涙にまみれて、ああ、あの子が。

ああ、だいすきな、あの子が。

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