戯言/ひめと
あの子は自分を傷つけているけど、わたしだって文句は言えない。
最近は落ち着いてはいるものの、前は傷つけて生きていたもの、ね。
今日せんせいが言ったっけ、きれいごとを並べたっけ。
それであの子は前に立たされて、無表情で怖かったっけ。
見せしめのような心地だったかもしれない、ひどく傷ついたかもしれない。
ああ、また、あの子の傷が増えてしまいます。
あの子には傷ついて欲しくはないのに、だいすきなあの子には。
先生だってご存知でしょう、それともすっかり治ったとでも?
ああ、今頃、きっと今頃あの子は。
あの子の腕は血にまみれて、あの子の顔は涙にまみれて、ああ、あの子が。
ああ、だいすきな、あの子が。
戻る 編 削 Point(2)