延刑フランスパン/はじめ
ゃ署長に詩とは認められないので消しゴムで消す
何も思い浮かばねぇ! これじゃあもう一年ムショの中じゃねぇか!!
無性に焦り 無性に怒り
僕はペンを投げ捨てて紙をぐちゃぐちゃに丸めた
もう駄目だ…あと十分で何ができるっていうんだ…
そう落ち込んだ矢先
小さな光が天井から降りてきて両手で受け止めると途端にまばゆく光った
希望の光…
結局僕は就寝の時間までに十編の詩を書けなかった
当然もう一年刑務所にいなければいけないのだが
これでいいんだと思った
自分の犯した罪をきちんと償ってこそ人間ってもんだろう
そう考えてふっと笑うと眠るのも忘れてゆっくりと時間をかけて詩を書き始めた
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