火のリレー/吉岡ペペロ
 

ったあの占い師は

いまどこで何をしているのだろう

監督だった田島の親父が破滅し

県大会も出場辞退になって

監督のめちゃめちゃんなかに

じぶんの家族もほうり込まれた


よく、この日を迎えられたもんだよ、

正吾はめずらしく感慨にふけっていた

良実の言葉がふっとよみがえってきた


沼クンたちは、火のリレーをしてるんや、

カントクだって、あの賭博師だって、沼クンの家族だって、なんだって、

みんな、沼クンの仲間よ、

火のリレーのランナーなんよ、


タケちゃん、こっち戻ってこい、

子供を呼ぶ父親の声にハッとして

正吾は夢から覚めたようになった

火のリレーかあ、

そうつぶやいたとたん

正吾に鳥肌がたってきた

なにもかも許せそうな気がした


かあちゃん、ねえちゃん、おとん、

またいっしょに住もな、

俺、たぶん、絶対、プロになれる、活躍してやる、


鳥肌はなかなかひかなかった

正吾はわざと身震いをして

手で右肩を強くさすり続けた
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