瞳/松本 卓也
 
のに今日も魂を生贄に仮初の麻薬に酔う
差し伸べた掌の温もりを嘘と断言し
フレームに収まった人工物を愛でるだけ

肥大した自我の向かう先は牢獄でしかない
社会性と言う名の歯車を演じる役割さえ
こなせないような下手糞共が跋扈する
単なる協調と言う名の交歓自慰の世界

立ち止まれば底に魂など無く
ただありふれた孤独だけが路上に寝そべる
光をなくした視線など夜空に溶けてしまえば良い
ただ舐めあうだけでは見えることなどなく

生き様の残骸にしか見えない
美しい腐肉の消え去る先に
訪れる末路の道程に彩りを添える

権威に曇る瞳も
投影する理想に罅割れた瞳にも
見えないものは仕方が無い
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