地下室寡黙内部説/黒川排除 (oldsoup)
川のせせらぎを聞いている
部屋の隅で
部屋の隅を見つめて
あるいは目を開いて
焼き付ける首都の低い霧
♪歌うんだよ
逃げまどうひとたち
川の方にいらっしゃい
などと終日
歌いながら手拍子を
耳を塞ぎながら
じぶんのものではない手拍子を
川の方にいらっしゃい
聞いている
膝を折り畳んで
塞いだ耳で
石になるまで
結んだ口で
味わっている
等身大の滑らかな石
痛苦は物質的に灰色
ひらいた口を下流がかすめるとき
柔軟な舌で石をすすぐ
柔軟な舌で
混ぜ合わせる
白と黒の絵の具を
はいつくばる
「朝も夜もなく
盗ん
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)