窓ガラス越しに/うにかぜ
 


なぁ、ガよ。
今お前が見ている空はニセモノだ
お前がいくら羽をばたつかせようが
りんぷんまき散らせようが
そこに空は無い

お前はそんなこともわからないのか


(窓ガラスは音を立て開き始める)


なぁ、ガよ。
今お前が飛んで行きたい空が少しだけ見えたぞ
お前がもう少し左へ行けば
黒い窓枠を超えることができたら
そこに空は在るのだ

お前はどうしてそんなことも気づかないのか


(右側から肌色の怪物が現れ強制移動させる)


なぁ、ガよ。
少しは感謝してもらいたいものだな
よっぽど気持ちいいのだろうか
振り返らずに行ってしまった
それが本物の空だ

お前はそれさえも知らないのだろうけれど


(ガラス越しに西日の空を見上げる影)


なぁ、ガよ。
今、お前のこと少しだけわかった気がするよ


そうだな。


俺だってこのでっかい一つの星越しに
必死になってもがいているんだ



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