羊飼いへの祈り /服部 剛
 
迷える羊の私を 
いつもの空から見守る羊飼いよ 
誰かに愛を求めては
粉々に壊してしまう私を 
自らを嘲笑うかのように 
紅く波打つ海に溺れる私を 
憐れんでください 
( 私は頼りなく揺れる花 
( 私は忘れ去られた路傍の石 
( 唯一の、暖かい陽射しを待ち侘びて 
( 地に影を落とす者 
目には見えない姿で 
今日も空から見守る柔和な羊飼いよ 
深夜の海洋に浮かぶ船の甲板に 
独り震えて立っている私の 
羅針盤となってください 
汚れた私のからだのなかに 
夜風とともに入ってください
望みの失せた物語の続きを 
わたし自身の手ではなく 
あなたの握る筆で描いてください 
夜の闇に放たれる、長い絵巻物のように 
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