欲の果て/鼈甲
人々は願った
暗い夜なんか無ければいいのに
ボクのセカイでは
夜でも太陽が出ている
彼らは夜でも動き続ける
ボクはまぶしいと感じるだけ
人々は願った
時間が無限にあればいいのに
ボクのセカイでは
時間を移動することができる
彼らは架空の時間を歩いている
ボクはつまらないと感じるだけ
人々は願った
永久に生きられたらいいのに
ボクのセカイでは
命を操作することができる
彼らは命の儚さを知らない
ボクは怖いと感じるだけ
差し続ける光
ボクは眠ることができない
意味のない時計
ボクは時間の中を彷徨う
終わらない命
ボクは人間ではない
休みたい 走りたい 死にたい
そう思ったことは一度も無い
そう思えたことは一度も無い
涙を流すことさえ
無意味に感じてしまうのだから
戻る 編 削 Point(3)