かわいいあの子/蔦谷たつや
かわいいいあの子は
雨の下
少しあせてる水玉の
傘で雨などなんのその
かわいいあの子は
雨の後
東で澱んだねずみ色
気にせずてくてく歩いてた
かわいいあの子は
霧の中
遠くに行ったかあさまが
戻らぬ事を知りながら
かわいいあの子は
霧の後
夕日もいよいよ消えてたが
悲しい目をして待ちました
かわいいあの子は
晴れの日も
雪でも雹でも気にもせず
いつも一人で待ちました
かわいいあの子は
晴れの日に
それは昨日のことでした
かあさまのもとへいきました
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