王女メリサ2/atsuchan69
 
後でございます」
 湖畔のみどりにひどく虚ろな眼をやり言いました。
 メリサは日傘をさしたエスターのかたわらに座り、
「なぜ?」と訊きました。
「戦争です。ボクは戦争がきらいなんです」
「せんそう? いつ起きるのですか?」
「きっとそのうちです。見ていてください」
「・・・・王さまは、そのようにお考えであられましょうか?」
 エスターが口をはさみました。
「はい。軍隊は日増しに増強されています。ついでに言いますと、重税で食べてゆけなくなった農民たちがいることもノッケのさいわいです」
「まあ」
「でも、戦争というのは、そんなにかんたんに起こせないのでは?」
「それができるのです。理由はかんたん、そのつまり・・・・」さすが少し言いにくそうに言葉をつまらせましたが、「王女様にはどんなことでも隠さずにお話いたします」そう言ってつづけました。「つまり亡き国王の事件を他国の仕業とでっちあげるのです」
 ああ、それがもし本当であれば、もはや人の仕業ではなく悪魔の仕業としかいいようがありません。


                   つづく・・・・
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