ひだみ/
たもつ
冬が終わりそうなので
ひだりの方を向いたら
そこにはひだみがいた
ひだみと名づけられたひだみは
自分が何であるのかわからないので
大そう困っている
僕もひだみと言ったものの
ひだみが何であるのかわからずに
ただただ見詰めあっている
二人の間に流れているものを
時間だと教えたのは
安心させたかったからじゃない
たぶん自分が安心したかったから
これからやってくる春の話でもしようか
その間
僕とひだみのさびしさは
少し和らいでいる
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