アタシの匂い/三架月 眞名子
ずっとなかった
アタシだけの匂い
キミは持っていたのにね
確かに香水せいだけじゃないのも
分かってたし
人ごみに紛れてしまったとしても
キミがアタシを嗅ぎ分けられること
ちゃんと知ってたけれど
でも不安だったんだよ
不確かなものを
確かにしたいと思ってたんだ
そして
アタシはとうとう出会ったんだ
自分の匂いに
キミがぴったりだと言ってくれた
柔らかな花の匂い
やっとやっと手に入った
この安堵感はなんなんだろうね
今度から
キミに会うときは必ず付けてくから
ちゃんと記憶に刻みつけてね
私の匂いを
一生忘れさせはしないから・・・
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