冷奴/水在らあらあ
 





街路樹に抱きついて愛情をほしがる
そうしておまえは湯豆腐が食べたいって言う
俺は冷奴が食べたい
おまえの肌のように白く冷たい

交差点がわめき散らしている
スピーカーつきの羅針盤
気がふれて あらゆる方向に
あらゆる季節に

行こう ゆこう もう
夜の都会はおまえを容易く抱くだろうが
そこに愛情なんか
そこに愛情なんか

あなたの手
湯豆腐みたいに熱いわ
おまえの手
冷奴みたいになめらかに

しずかに
ないて
ぬれて
こごえて

街路樹の下に猫が丸くなって目を閉じて
だからそこは安全なんだ
それにしたっておまえには少し狭すぎ
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