大灯台/三条麗菜
 

私は陸地にたどり着き
次々と襲い来る波に耐え
灯台として立ちたいのです
あの失われた大灯台として
あなたのために立ちたいのです

そして冷たい風と
荒れる海原にあえぐあなたを
私は照らし出すのです
闇の中に
ただあなただけを

私の光が届いたなら
きっとあなたの心の中に
伝説の都アレクサンドリアが
出現することでしょう

たとえその都が
本当には存在しなくとも
かつて栄えた貿易都市の
賑やかで温かいざわめきが
多様な国々の豊かさを喜ぶ声が
あなたに聞こえることでしょう

自分の国しか見えなくなり
自分の姿しか見なくなった
多くの人々からあなたを
救い出せることでしょう

今は私も船に乗り
陸地を探しているばかりです
  
私の存在があなたから
見えなくなったとしても
流され
揺られながら
今も探しているのです

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