大灯台/三条麗菜
私が今どこにいるのか
あなたには
分からないかもしれません
でもいつか私は
一つの灯台となり
私の存在を
あなたに知らせることでしょう
広大な海をも超える
確かな力を手に入れて
紀元前のアレクサンドリアに
そんな大灯台がありました
高さは百数十メートルといわれ
当時で最も高い建造物です
そしてその光は
海の果てまで届いたのです
あなたは今どこにいますか?
迷っていませんか?
心細くありませんか?
あらゆる行き場所を
失っていませんか?
望もうとも望まざるとも
人はみな独り船に乗り
風に流され行くのです
波に揺られて行くのです
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