影2/yoshi
小さな頃から影踏みが好きだった
だから
今でも雨の日は気分が憂鬱になる
晴れの日は決まって
誰も来ない工場の裏手の空き地に向かった
降り注ぐ陽光の中
僕は自分の影が伸びたり縮んだりするのを
面白く眺めては
飛んだりはねたりして遊んだものだった
友達はいなかった
正確に言えば
友達は欲しくなかった
一人が好きで
だからといって孤独感はなかった
感じないようにしていただけなのかもしれないけれど
そんな僕にも好きな子が出来た
高校1年のときだ
1年最後の席替えのときに
初めて彼女の隣の席になっ
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