MAKING EPIC/角田寿星
 
をひたしては
長い髪を梳いている
窓の隙間から湿った冷気が忍び込んでまぶしい
同じ水で顔を洗う
軽く体も拭く
タブラのリズムは もう目と鼻の先で
早くもシタールとギターが空から降りてくる
引き出しから
古い手鏡を取り出して
にい と笑顔の練習をする
少し濁った洗面器の水を
ひとさし指でかき回して
歯は
歯を磨きに 君は洗面所へ降りていく

●あこがれについて●

(ロマンスに憧れることはあるけど
 ヒロインも経験してみたいとは思うけど
 ミニスカではしゃぐ高校生は少し羨ましいけど
 いつも同じジーンズを履いて
 悠久のリズムに身を浸しているうちに
 なん
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