「おしえてマンボウ」 (青年詩片)/ベンジャミン
 


海はこんなに広いのに
もう何でも知っているような顔をしてる

マンボウ
君はいつもゆっくり泳いでいて
ぼーっとしているようでも
その瞳はやさしい

君のように泳げたらと
ときどき君の口のかたちをまねてみる
けれど上手に息をすることさえできないよ

マンボウ
ぼーっとする時間はとても大切で
それがやさしさをたもつ秘訣だと
君の瞳が言ってるようだから

僕もそんな時間をつくろうと
ときおり縦長の身体を折りたたんでみる
だけどただ何かに押しつぶされそうなだけだよ


マンボウ
君が怒ったところを知らない
(僕にもやさしさは残っているよね)


[次のページ]
戻る   Point(6)