王女メリサ/atsuchan69
よわい月の光をとおした色のないおぼろげな雲が涙ににじんだ恋文のようにせつなく空いちめんをおおっていました。
真下には黒くふかい森がひろがり木々の葉はじっとうごきを止めて緩やかな風に「さや」ともゆれませんでした。やがて上空を思いだしたかのように風が走り、雲がわれるとすこしずつ真白い満月が顔をみせはじめました。すると葉の一枚いちまいが大切に溜めた小さくまるい銀の雫は葉のくぼみをころがって「プルン」とやや震えながら、せまく窄まった先へと急に転がり落ちてゆきました。
そのとき突然、森じゅうにひびくような大きな羽音をたてて一匹のフクロウが空へ飛びたちました。
フクロウはいちど空の高くまで舞い上
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