羊と狼/1486 106
 
自由に好きなように生きればいい
そんな事言っていられるのは高2まで
社会という荒波に揉まれるうちに
アイデンティティは洗い流されてしまう

例えば非力な羊が
群れから離れて生きていくためには
戦う力を手に入れなければいけない

そして羊は狼の皮を被り
似合わない牙をかざして吠える
月に映る姿が泣いているように見えるのは
迷いを断ち切れていないから

流行に指立てるロックミュージシャンも
十年後には音楽性も変わってくる
いつの間にか安定を求め
歌を捨ててしまう奴だっている

例えば孤独な狼が
群れの中で生きていくためには
馴れ合いや我慢を身に付けないといけない

そして狼は羊の皮を被り
力なき声を振り絞って吠える
月に映る姿が泣いているように見えるのは
疼きだす心を隠せないから

でも希望を捨てなければいつか
ありのままで生きられるようになるよ
そんな事考えている自分はまだ
世間知らずの甘ちゃんなんだ
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