潮騒の降る/霜天
ざわざわと鳴り響く
変わらずに続いていく音
私の内側で広がっては消えていく
潮騒のようなもの
潮騒の降る
そんな街に出掛け
片耳で受止めながら
海沿いに伸びる道を歩いたりする
海岸に繋がっているのは坂道で
細い路地と家並みの向こうの僅かな海面
見えなくともざわざわと
降り注いでくる波音
寄せては引く
変わらない繰り返しは
私も持っているようで
ざわざわと響く音は
あの海からか 私からか
帰りの電車に落ち着いても
潮騒は寄せたまま引かない
ざわざわと繰り返す耳の奥で
心の平面が波立っているのだろう
そんな波間に漂っている
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