フラッド/umineko
どこに潜んでいたのかと
思いあぐねるほどのひどい雨だ
駐車場までの短い距離に
傘を開くのも躊躇するほど
水は素直に低きを選ぶ
アスファルトの起伏は今や
世界を勝者と敗者に分ける
流れはたちまちうねりとなって
足元へと押し寄せる
大事なのは なに?
気付かないこと?
ねえ
そう言って
君が少し身体を寄せた
君の傘はとても小さくて
僕らはただ
寄り添うのが精一杯だ
ゲート横の狭い通路は
ちょっとした濁流
君が小さく悲鳴をあげて
僕を盗み見る
水は素直に低きを選ぶ
かつて道だったその場所を
もうもどれないうねりの中を
僕らは
答えのない道を
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