「激しい音を秘めたまま」/和 路流(Nago Mitill)
 
激しい音を秘めたまま、きみは大人になるのかと
僕はいつも問いかけてきた。

一体何を、きみに贈ればよいのだろう。
僕がきみに残せるものは…かすれたこの言葉だけだ。

大人気ない、大人気ないと、僕は言われ続けたけれど
こうして、きみも大人になっていく
ああ、時が過ぎるのは早いね。

きみはこれから、この世界で何を見出すのだろう。
僕の不安の一つ一つを、きみは激しく噛み砕いていく。
きみはこれから、何を思うのだろう。
何を変えて行くのだろう。
僕はそれを、見ていてあげられるだろうか。

けれど、後悔も後ろめたさも、きみには似合わない。
そうだね、
きみは、きみが生きたいように行けばいいと、
この頃僕は そう思えるようになった。

…激しい音を秘めたまま、大人になったきみを
僕は、きっと見てみたいんだ。
                                           (1999年・筆)
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