「だって僕はここにいる」 (青年詩片)/ベンジャミン
薄曇の昼下がり
住宅街の静けさは重苦しい
声をからして叫んでも
余計に淋しくなるからやめておこう
無表情に時を告げる時計
窓の外には音もなく揺れる小枝
こんな日でも世界は動いているんだね
上空数百メートルから見渡せば
それぞれの営みが
絡み合っているのがわかるかもしれない
けれど部屋に閉じこもったままの僕は
小さな点にもなれなくて
水槽の中の金魚が見上げる
天井の真っ白さに似ている
カレンダーには何の予定もないけれど
僕にはちゃんと友達だっているんだよ
だけどなんて話しかけよう
「元気ですか? 僕は元気です」
本当はそんなこと
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