空洞/はじめ
 
冷え切っている

 愛が欲しい

 僕は口づけを求めた

 もっとキスを求めた

 セーター姿の君の背中に回している腕がバチッと音を立てて静電気を起こした

 君は僕の瞳をじっと見つめていた

 大きい瞳でじっと見つめていた

 もう眠らないといけないのか

 それとももう別れなければならないのか

 君は僕の背中から両腕をそっと離した

 僕は泣きながら頭をぶんぶんと回した

 君は顔を横に振り

 僕の頭をそっと撫でた

 おやすみ

 君は僕にそっと言った

 そしてすっと消えていなくなった

 僕の両腕が抱えているのは空洞だけ

 時計の針が規則正しく時間を打っていた
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