漁り火/はじめ
 
 ピチピチと跳ね回る魚達
 漁り火の前で踊っているようだ
 それらを一匹一匹捕まえ発泡スチロールに氷詰めにしていく
 おじさんの一人が船上で捕れたばかりの魚を捌いて刺身にしてくれた
 僕達は醤油と山葵で刺身を食べる
 大仕事をした後の刺身は何とも旨い
 今日も大漁だった
 発泡スチロールに入りきらないくらい魚は溢れていてしかたないから逃がしてやることにした
 僕の肩を叩き「頑張ったな」と褒めるおじさん
 もうすぐ漁り火は消される
 氷詰めが全て終わり船は帰路に方向転換した
 漁り火が海水で消され灰が煙と共に宙を舞って飛び散った
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