ニカラグア競争男/カンチェルスキス
、おれがマダカスカルに居て、おっさんが
三重県の津市に居るぐらいに感じたのは、おれも
おっさんもいっしょだった、紺の作業着の胸ポッケの上の
名札、ボールペンで書き潰されて、もともとの名前が見えない、
かすかにかすかに、じねんじょって、読み取れた。
「兄ちゃん、ひょっとして今マダガスカルに居るだろ?オレは津だ」
「ああ、そうだよ。おれたちは衛星中継で話してるもんだ。時差の関係で、送料が無料になりそうだぜ、津のおっさん」
「津」
「津」
「話、変わっけど。オレさ、ついこの間、帝王切開って名のバンドを組んだんだ。ところが、オレはバンドって何する装置かわかんないんだよ」
「台所
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