チューリップ/水在らあらあ
て
そこでチューリップが
悲しみを左右に振り分けている
君はそのチューリップを一つ引っこ抜いて
匂いを嗅ぎながら
俺に手渡す
この匂い
この匂いの中に
俺達はいるんだ
いま俺達はこの匂いの中にいて
その中には白鳥がいて パンを盗むリスがいて 亀がいて 孔雀もいて
白人の俺がいて 東洋人の君がいて
ああ ほら ひとびとが あんなに きれいだ 太陽の中で
靴脱ごうよ
素足で大地に立とう
このまま海に行こうか
そうして俺達は遠い国へ行くんだ
それで君の運命の人を探しにいったらいい
遠い国に来て
君のような
友達ができて嬉しいよ
だから世界は繋がってるんだって思うよ
人々は どこに行ったって
いっしょだ
遊んでいればいい
宇宙と一緒に
一点に向かって
疾走しながら
それが終わりだとしても
同じように笑い
同じように泣くんだ
それでいいんだ
それがほんとうなんだ
それが真っ当なんだ
ああ 今 生きている みんな 生きているね
日が 暖かいね
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