冬の鏡(五)/
信天翁
九十六歳で亡くなったオヤジが
十六年間丹精こめた裏庭
それが息子の不精と不器用で
荒れ放題・・・
春の新しい芽吹きはもぎとられ
夏のまぶしいひかりは土にも沁みず
秋のすがすがしい風は庭を素通りし
冬の裸木には小鳥たちの来駕もない
あゝ 片影を鏡で見る見ないもない
所詮「世代」も支配されているんだ
透徹した四次元によって
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