ノート(鳥)/
木立 悟
鳥が歩いている
霧のなかを飛べずに
道から道へ歩いてゆく
鳥は車輪に話しかける
回転は無言でうなづいては駆けてゆく
手持ち無沙汰の傘の群れ
短く晴れた午後の陽の群れ
入り組んだ矛の道を手に
大きな影が火の前に立つ
足もとに散らばる新しい声
新しい遊び
新しい家々に囲まれて
変電所は雑音の夢を見る
遠い列車の音は冷え
爆ぜるように落ちてくる
鳥は眠りの影をすぎ
北と南を指し示し
東から来る夜へとひらかれてゆく
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