冬は、しかし失われ/soft_machine
 
はなく

固い海がざわめきを立てる
遠ざかりながらの
暗い余韻ではなく

偶然、船出に立ち会った少女が
将来を予感して
真新しい籠に
不安ではあるが
確かな幸せの予感を
いっぱいに摘みとることでもない

まして宇宙の神秘が
掌を
陽にかざす度に烙印される
といった
御伽話で、あってはならない

ブラウン管で温められた
冬は無言で
雪だるまも なみだを
溶かして泣いていた




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