ケータイ電話/はるこ
ケータイ電話が音を立ててぷつっと切れた。
ぼんやりと、うんともすんとも言わないただのモノを見やる。
これで世界とあたしを結ぶものはなくなったんだな、なんて思う。
そしてほっと小さく息を吐く。なんだ。なんだ。なんなんだ。
ケータイ電話の画面から光が消えるとき、あたしは心の底から息ができる。
こんな小さいものに支配されて、されたくなくてもされて、
ひとの顔が視界から消えて、息が詰まりそうだったから。
ケータイ電話を充電器に差し込まずに、天井で光っている電灯を見つめる。
もう二年くらいずっと丸い形の電灯は一本だけで光っている。
友達は大家さんを呼んで直してもらえと言う。
二本
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