「からだの記憶」 (青年詩片)/ベンジャミン
胎児のような寝相も
遠い記憶のせいだとか
僕はひざを抱えて眠る
それが一番楽な姿勢なんだよ
間接がすっきりおさまって
頭からつま先までが一つになる
そう 一個の人間になる
小さい頃は
よく体育座りをしてテレビを見てた
怖い映画とか見ると背中が寒くて
若いのに肩がこってた
キシキシ キシキシ
からだが音をたてて
それが記憶として
からだに刻まれてゆくような気がした
いつからか
夜が本当に怖くて眠れなくなって
なのに眩しい朝がくるのも嫌だった
そんなときもやっぱり
僕は胎児のような格好で
布団の中にもぐりこんでいたんだ
そんな僕を知っているのは僕だけで
いつも一緒にいてくれたのは
このからだ
もっと大切にしなくちゃね
キシキシ キシキシ
鈍い音ばかりでなくて
ちゃんと歩くことも教えなくちゃいけない
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