(ある雨の日に)/草野春心
からだ
だが誰もヒトを超えようとしない
と思うから
ヒトは降らず……止まず
せき止められず
直立二足歩行という尊大な発明をする
それでいて……自分は……
自分でしかないと思う……ヒトなどではなく
……自分でしか……そして石鹸の匂いのする手で
安全バサミを握り……切り取ったのだ
世界から……自らを
それが自分……
メタファーのための雨が止んでしまって
すべてが数字になる……0と1の
ぼくは011100110011001101……
雨粒は……H2Oは……
(宇宙は0?)
そしてあらゆる現実が
僕の元へ帰って来る
けたたましい自動車の排気音と
誰かの高笑いが聴こえた
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