悲しみの調律師/明星 梟
 

フェルマータは面倒くさいから放っておけ

風に憑いたどよめく雑音は知らないうちに調音されて

悲しい旋律を聴くぐらいなら
乱れた旋律で俺を見出してやるよ
滅茶苦茶な中に俺がいるから
そんな誰もが知ってるような音だけじゃつまらないだろう?
知ってるはずなんだお前は
自分だけの旋律を
滅茶苦茶なアリアを
自分だけのアリアを知っているだろう?

わかっているならスコアは要らない
自分の手が覚えているだろう?
クレッシェンドで自分を世界に伝えろよ
お前という曲は今日も気まぐれに流れていく

窓から流れる破綻した旋律
それでも俺はいいと思えた
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