甥がもたらした冬の怖い話/時雨
 
それは、甥っ子が遊びに来ていたときでした。



暖かい冬の日差しの中で、まったりと俺は雑誌を読み、
甥っ子は持ってきたおもちゃをカタカタと動かす中、
優しく降り注いでいた日光を薄い雲が遮った瞬間、
まだ小さい甥っ子はすくりと立ち上がり、そのまま外へ飛び出していきました。

何がなんだかわからない僕を残して。


恐ろしい姉の大事な子、何か有れば僕の命も危ないと、
大慌てで追いかけた僕の心配を余所に、
道路に飛び出すこともなく、玄関の外側のいた甥っ子は、
それはもうキラキラとした目で空を見つめているのでした。

やはり僕は何がなんだかわからないまま。



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