あい/
草野春心
君が笑った
橙色の気持ちに満たされた僕
君が笑いやんだ
戸の閉まる音に怯えた僕
君が泣いた
駆けつけて抱きしめた僕
君が泣きやんだ
わけもしらず泣きだした僕
君を知りたくなればなるほど
僕を忘れてしまうみたいだ
そしていま僕は一人
町を歩いている
霧雨がふっている
つめたい音と あたたかい匂い
〈あい〉。
胸の中につぶやいてみた
〈あい〉、〈あい〉、
〈あい〉……
くりかえしたら止まらなかった
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