如月駅/Rin K
つないだ手を
そっ、と離して
春までの距離を
歩数で測っていた君は
三十一歩でくるり、と振り返って
僕に何かを伝えてきた
如月駅を走り出した始発列車が
僕を追い越して
君を追い越して
声を運んでいったものだから その言葉が
さようなら、か
ありがとう、か
好きでした、かさえも
結局はわからないまま
君を真似て 次の停車駅まで
大またで歩き出す
いつしかの夏、波に浮かんでいた日のように
僕が進んで 君は
止まらず 僕が
止まって 君は
戻らず
そのときも君の声は
笑い声に混ざって聞き取れなかった
そのときも僕は
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