機能/カンチェルスキス
波打際から少し離れた砂浜で亀が死んでいた。
漂着したパイナップルか自転車のサドルみたいだった。
もう空は暗くなり、湾岸線のオレンジの光が砂浜に広がっていた。
亀の伸びた首は根元から左に直角に曲がってた。
四つ足は赤ン坊の手と足みたいに縮こまっていて
無数の皺に包まれていた。
甲羅はコカコーラのネオン看板の光の先で
淡いピンクに染まり
触るとまだ湿っていた。
ダンス系の音楽がずっと聞こえていた。
発電機を持ち込んだグループが松林の間でライトを照らし
テーブルや椅子をセッティングして
音楽に合わせて踊ったり歌ったりしてた。
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