村の子ども/なかがわひろか
 
村の子どもは笑ってる
世界が進んでいることも知らずに
村の子どもは笑ってる

飯を食らい
惰眠をほおばり
野を駆け回り
そうして大人になるだけの
そんな日々を疑わない

村の子どもは何も知らない
一つの国が滅びようとも
どんなに美しい曲が生まれようとも
村の子どもは何も知らない
何も気づかない

村の子どもは大人になり
また新しい村の子どもを産み落とす
村の大人になる子どもたち
彼等は何も知らないのか
何も知ろうとしないのか

村の子ども

本当は全てを

知っているか

村の子ども

みんなみんな

笑っている

(「村の子ども」)

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